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ごあいさつ
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公益財団法人日本生態系協会
会 長 池谷 奉文
昨年は、立て続けに発生した台風によって各地で甚大な被害がみられた年となりました。被害に遭われた方には、心よりお見舞いを申し上げます。一日も早い復旧をお祈りいたします。
豪雨や暴風などの自然災害は、地球温暖化の進行に伴い、これからも激化していくということが予想されています。そのようななかで、近年の自然災害の規模や被災状況を見ても、これまでの「ダムと堤防で国民の生命・財産を守る」という方法には、限界がきていることは明らかです。台風19号に限ってみてみても、各地の多くの河川において、堤防が決壊する被害や、越水や排水不良による浸水の被害が見られました。
EU諸国では、EUの洪水指令を受けて、気候変動による洪水リスクに対応した方針や管理の計画が作られていますが、その計画では予防の考え方に重点が置かれ、土地の利用の見直しが行われています。世界では「ダムと堤防では国民の生命・財産は守り切れない」ということは常識となっています。各国で、コンクリートによる人工構造物(グレーインフラ)から、自然の機能をうまく利用した「グリーンインフラ」への取り組みが加速する中、日本も新しい川のあり方を考えていく時代が到来しています。
自然の生態系は、人間の生存基盤です。これからは、こうした自然災害に対応していくためにも、自然と人間との共存がますます必要になってきます。ハザードマップを見て、危険な場所からは退くという発想を持つことと、川の周辺では積極的に自然再生を行って天然の緩衝地帯を設けることで人々が安心して暮らせる、持続可能な美しい国づくりを実現するために、私たちの協会は、今年も世界各国の情報の収集を精力的に行い、これからの日本について新しい提案していきたいと思います。
最後になりましたが、皆様方の益々のご健康とご多幸を心よりお祈りいたしますと共に、本年も変わらぬご支援・ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
令和2年1月
池谷奉文プロフィール
【主な職歴】
公益財団法人日本生態系協会会長
公益社団法人日本ナショナル・トラスト協会会長
公益財団法人埼玉県生態系保護協会会長
自然再生専門家会議委員
国土審議会特別委員
社会資本技術開発会議委員
河川水辺の国勢調査アドバイザー
埼玉県環境審議会委員
獣医師 他
【講師歴】
環境省、国土交通省、農林水産省、経済産業省、
文部科学省関係団体、各都道府県行政機関、
市町村行政機関、全国の大学、教育関係団体、
各種団体、企業 他
【著書】
美しいくにをつくる新知識
-持続可能なまちづくりハンドブック-(ぎょうせい)
環境を守る最新知識〔第2版〕(信山社)
学校・園庭ビオトープ
-考え方 つくり方 使い方-(講談社)
環境教育がわかる事典 (柏書房刊)
日本を救う「最後の選択」 (情報センター出版局) 他
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